中国でのブロックチェーン技術はうまく行けるか?
ブロックチェーン技術は中国の国家政策の一つとして、2019年には習近平国家主席がつかむべき重要な機会と述べ、2021年には5カ年計画の中で重要な技術的柱として言及された。
「我々はブロックチェーンをコアテクノロジーにおける自律的なイノベーションのための重要なブレークスルーとしなければならない」と習主席は語り、広く政府のIT基盤に統合するという政府の方針を示したと伝えられている。
BSNが登場
その後、「ブロックチェーン・サービス・ネットワーク(Blockchain Service Network:BSN)」が登場。BSNは本当の意味では、ブロックチェーンではない。「パーミッションド(許可型)ブロックチェーン」と呼ばれる派生型だ。つまり、どの企業もどの政府も、中国だろうと他の国だろうと、自分たちの重要なデータを自分たちがコントロールできない分散型の状態に置くことを望んでいない。
BSNは企業の開発者が比較的簡単にブロックチェーンベースのアプリケーション開発できるようにするためのインフラプログラムで、中国政府がサポートしている。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)」が先週伝えたように、中国には約1800社のブロックチェーンサービス企業があり、経済や官僚機構のほとんどの部分で活用されているという。
エンタープライズ・ブロックチェーンには有用性がない
だが問題がある。中国以外の国では、企業はエンタープライズ・ブロックチェーンには有用性がないと認識している。2021年初めにIBMはブロックチェーンチームを解散し、その直後、マイクロソフトはクラウドサービス「アズール(Azure)」でのブロックチェーンサービスを廃止した。かつて「食品安全のスマート化時代」の一環としてブロックチェーンをアピールしていた米食品医薬品局(FDA)も取り組みを放棄した。
調査会社ガートナーは、2021年のハイプサイクル予測において「成功したパーミッションド・エンタープライズブロックチェーンプロジェクトはほとんどない」と指摘。分散型金融(DeFi)、決済、トークン化などはいずれも魅力的だが、エンタープライズブロックチェーンは行き詰まっているという。ガートナーは「ほとんどのユーザーがユースケースをテクノロジーに合わせようとして行き詰まっている」と述べた。
「パーミッションドブロックチェーンの価値は、パブリックブロックチェーンの最も革命的な側面、つまり、分散型コンセンサスを通して達成される信頼の最小化と中心的権威の排除を実装していないため、理解しがたい」(ガートナー)
中国企業、積極的にブロックチェーン導入
中国の場合、企業がブロックチェーン導入に積極的なことには理由がある。
例えば、広州の1億4000万ドルの補助金など、多くのインセンティブが用意されていることだ。テクノロジーの実際の有用性は無関係。政府が自国の経済的野心に役立つと考え、資金を投じようとするなら、企業は喜んでその意向に応じる。
資金調達に有利なら、なおさらだ。公開されている企業登録データによると、一時期、中国には約3万5000社のブロックチェーン企業が存在した。もちろん、その多くは補助金を得るために社名に「ブロックチェーン」を加え、チャンスに飛びついた企業で、あからさまな詐欺もあった。その数は先週のSCMPの報道によると、約1800社に減少している。
だが、1800社の実態には依然としてが疑問が残る。ブロックチェーンに関する主張を検証するには、オンチェーンデータが重要。しかし、パーミッションドブロックチェーンは第三者がデータを検証することはできない。
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