ソラナ(SOL)がNYに実店舗、アップルの後追いか?

著者:c, dora
最終更新日:08/01/2022
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ソラナブロックチェーンは、ニューヨークシティに「大使館」を開設中だ。大使に外交官、国旗の揃った普通の大使館ではなく、特に何かを売ろうと計画している訳でもないらしい、実店舗である。

「ソラナ・スペース(Solana Spaces)」と名付けられたこのストアは、マンハッタンの高級な不動産開発地区にあり、「文化センター」である。ソラナ財団(Solana Foundation)によれば、人々が集まり、暗号資産(仮想通貨)について学ぶ場だ。

 

ソラナ・スペースでは、「ソラナの仕組みやWeb3は何なのかについて学べる。ウォレットのセットアップ、初めての(NFT)購入、初めてのオンチェーン取引もサポートする」と、ソラナ・スペースのツイートには記されている。

 

お手本はアップルストアか?


ソラナ・スペースは明らかに、アップルストアのモダンでおしゃれなデザインを手本にしている。販売とテックサポートを融合したアップルストアは、2001年にオープンすると、アップルを小売の大手へと劇的に変容させた。

とても明るい照明に真っ白な壁、白いベンチ、白い天井。どこを見てもクリーンで、曲線はソフトだ。

 

スティーブ・ジョブズはかつて、アップルストアのミニマリズムは、彼自身がデザインだけにフォーカスしていることを示すためのものだと語っていた。ジョブズは自らの製品が見た目よく、直感的に使えるものになることを目指していたのだ。ソラナが、このテック界の伝説的人物からヒントをもらっていると考えるのも、的外れではないだろう。

 

先月には、「ソラナ・フォン」のニュースもあった。ソラナの共同創業者で米モバイル通信技術企業クアルコム(Qualcomm)の元エンジニア、アナトリー・ヤコベンコ(Anatoly Yakovenko)氏は、ソラナ・サガ(Solana Saga)と名付けれたこのスマートフォンは、暗号資産をモバイルコンピューティングの世界にもたらすためのものだと語った。

 

そしておそらく、iPhoneが急速にインターネットの利用を拡大させたのと同じように、ソラナ・サガも人々を暗号資産の世界に引き込めるかもしれない。

ソラナ・サガは実質的に、ハードウェア暗号資産ウォレットのように機能する。暗号資産アプリの開発、配備、ダウンロードを一段と簡単にする開発者ツールも搭載される。ブロックチェーンプロジェクトがApp Storeにアクセスできないように、アップルが障壁を設けていることを考慮すれば、これは非常に重要なポイントだ。

 

「暗号資産が魔法のように感じられるすべての要素(中略)それらはすべて、セルフカストディにかかっている」と、ヤコベンコ氏は語った。しかし、大きな問題もある。「セルフカストディにまつわるユーザーエクスペリエンスはひどいもの」だと、ヤコベンコ氏も認める通りだ。

 

ソラナは、小売フレンドリーなテックを提供しようとする中で、興味深い立ち位置を確保している。少なくとも1つの巨大企業には有効だったルートを辿っているのだが、数えきれないほど多くの会社は、そのルートに挑戦し、失敗してきた。

 

差別化を図る


中核プロダクトである暗号資産ネットワークが、定期的に機能停止に陥っているのに、ジタバタと色々な方向性を試していると、ソラナ財団を非難するのは簡単だ。しかし、掃き捨てるほどのお金があるのなら(マンハッタンでの賃貸料を考えてみて欲しい)、スマートフォンも「大使館」も、試してみる価値はあるだろう。

 

イーサリアムキラーとして人気のソラナは、ほとんどの指標でいまだに、イーサリアムの後を追っている。ノードオペレータの数も、トークン保有者の数も、時価総額も劣っているのだ。

イーサリアムがよりユーザーフレンドリーになろうと改革をしている時に、ソフトウェアの点で差別化を図れていないとしたら、ハードウェアと実世界での存在感という形で、一歩先を行くことができるかもしれない。

 

イーサリアムの熱狂的なファンの中には、ソラナ・スペースは、ネットワークの中央集権化のサインだと言う人もいる。ビットコインの後にローンチされた他のブロックチェーン同様、ソラナもベンチャーキャピタルから資金を受け取り、チェーンの行き先をおおむね左右する非営利組織を立ち上げた。

 

そのような取り組みは実際に、ソラナの創業者たちが売り込もうとしている「ブランド」とも一致しているようだ。ソラナはスケーラビリティと値段の手頃さで名を上げてきた。しばらくの間、無骨さやコストの高さを思い起こさせるというのを理由の1つとして、「ブロックチェーン」という言葉さえも拒否していたくらいだ。

 

ソラナの開発を行う組織とネットワークそのものは別物だが、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、スマートフォンや小売店舗を構築、宣伝する「共通の取り組み」からの「利益見込み」についてどう考えるのかは、興味深い点だ。

 

ソラナの向かう先


さらに、長期的な計画は何なのか、他のネットワークも小売の世界に進出したら、暗号資産業界にどんな影響があるのかというのも、考える価値があるポイントだ。アルゴランドの人たちが、アップルの後を追うマイクロソフトのように、モールのそこら中に広告を出したりするのだろうか?

悲観的になりたくはないが、みんながソラナ・サガを持つようになったとして、世界にとって何か意義のある違いが生まれるとは考えにくい。

 

ヤコベンコ氏はしばしば、ソラナ・ペイを内蔵したソラナ・サガによって、暗号資産で「コーヒー1杯を買う」のがより簡単になる、という話を持ち出す。みんなが何百ものアルゴリズム型プライベート通貨を使う世界へと向かっているのだろうか?米ドルが本当に崩壊したら、そんなことになるかもしれない。

 

支払いは、ビットコインが初めて失敗したユースケースではない。取引を低速で高価なものにしてしまったテクノロジーは脇に置いておいたとしても、キャピタルゲインと売上にかかる税金両方を払いたがる人はほとんどいなかったのだ。

しかし、テクノロジーは改善されているし、法律も変えることができる。もしかしたら、マイクロペイメントが人気になるかもしれない。人々は今、ライトニング(Lightning)やファントム(Phantom)を使っているが、他のオプションがあるのも良いだろう。しかし、アップル・ペイで十分に事足りるのも事実だ。

 

暗号資産の世界の多くの人と同じように、ヤコベンコ氏も、暗号資産は開かれたイノベーションのためのプラットフォームだと主張する。ソラナ・サガはアクセスが限定されていないという点で、前進なのだ。

しかし、まだ公式にオープンしてはいないストアを覗くことで、ソラナでどんなイノベーションが起こっているのかを垣間見ることができる。NFTキャラクターやミームスローガンのついたグッズもある。インタラクティブなアートの展示や、最も人気の高い一部のアプリ向けのチュートリアルもある。

 

コンピューターの歴史におけるアップルのストーリーは、より小型でよりパワフルなコンピューターに向けたトレンドを追っていた。1980年代のアップルの成功は、個人向けパソコンの意義に賭けたことだ。当時はまだ、ビルのようなサイズの大型メインフレームコンピューターが、記憶に新しかった頃だ。そして、iPhoneが生まれた。

 

暗号資産が、コンピューター革命のどこにおさまるのか、まだはっきりしない。暗号資産はビックテックの対抗馬として自らを売り込んできたのに、ソラナがここに来てそのデザインを踏襲しているから、話がなおさらややこしくなってきている。

引用:COINDESK

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